大学卒業後から今年定年を迎えるまで、大手総合商社に勤め、海外駐在を長く経験してきた粕谷さん。会社で副業が解禁されたことをきっかけに、今後の自分のやりたい方向性の整理や自分のキャリアの棚卸しを行い、だんだん複業団に参加されました。
粕谷さんプロフィール
総合商社に38年勤務。中東・南米・アジア等海外での通信関連事業に従事。2023年3月に定年を迎え、現在は雇用延長をして嘱託社員で勤務を継続中。 定年を迎えるにあたって、セカンドキャリアの準備を始める中で、中小企業診断士の資格を生かし、地方の企業と協働したいと考える。そんな中、「だんだん複業団」を所属企業からの案内で知り、令和4年度より参加。転職経験も複業経験もなかったが、企業の要望を伺う機会や団員との情報交換の場に参加し、1社とマッチングした。
– だんだん複業団に参加した理由を教えてください。
新卒で就職した総合商社で長らく働いてきて、60歳の定年を目前にした昨年、会社の人事部よりだんだん複業団の説明会の案内をいただきました。第二の人生としてのセカンドキャリアをどう描くかを真剣に考え始めた時だったこともあり、まずは参加してみることにしました。私は長年、海外で事業の立上げ・運営に関わり、プロジェクトマネジメントをはじめ、営業・人事総務・渉外など多様な業務に携わってきました。サウジアラビア、トルコ、ブラジル、ミャンマーなど、海外各国に16年間駐在し、お客様やパートナーと信頼関係を築き、同僚社員とともに目標達成を目指してきました。
積み重ねてきたキャリアの中で、今後について二つの方向性が見えてきました。一つは、取得した中小企業診断士の資格も生かし、地域の経営者を支援すること。そして二つ目は、政変で希望を失いかけているミャンマーの若者を支援することです。その中でだんだん複業団は、一つ目の方向性に合致すると感じました。会社で副業が解禁されたことが後押しとなり、自分に何ができるのかの棚卸しから始めながらもプログラムに参加することができそうだと感じた「だんだん複業団」への参加を決意しました。
– 参加してみて印象に残っていることはありましたか?
私自身、転職をしたこともなければ複業も初めてで、参加するにあたって自分は何者で、これまで何をやってきて、何ができる人間なのか、自分のキャリアの棚卸しから始めなければなりませんでした。すべてが初めての自分にとっては、印象に残ることだらけですが、大きく二つが印象に残っています。
一つは、複業初心者でも安心して参加できる「プログラムの仕組み」です。
複業に関する知識も経験も全くない状態で参加しましたが、「だんだん複業団」に参加する松山市内企業の状況や複業するにあたって大事なことなど、Slackというチャットツールでの定期的な情報発信やセミナー、団員同士の交流会などで得る情報を通じ、徐々にやり方やコツがわかるようになってきました。市内企業の経営者と直接話せる現地フィールドワークというプログラムもあり、企業とマッチングするまでの仕組みが素晴らしいと感じました。
そして二つ目は、頼り甲斐のある運営メンバー、つまり「人」です。現地フィールドワークでの案内はもちろんのこと、企業とのマッチング面談に必ず同席してくれ、自分の良いところを引き出すよう工夫をしてくれました。その他にも、面談の前に相談に乗ってくれ、アドバイスをくれるなど、初心者の私にとって非常に頼りになる存在でした。この二つのおかげで、結果的に1社とマッチングすることができ、今年の年明けから一緒にお仕事することができました。
– プロジェクトに参加してみて、学びや自身の変化や発見はありましたか?
これまでの私のキャリアは、海外でも国内でも大手企業を相手にすることが多かったのですが、会社の看板や肩書きを外して、地域の中小企業との複業を経験したことで、社会に対する目線や見方が変わったように感じます。特に、私がマッチングした企業の経営者は、圧倒されるくらいの熱量をもって経営されていて、自分自身にも火がつきました。これまで出会ったことのないような経営者の方と一緒にお仕事ができたことは、自分の自信につながりました。
私は「だんだん複業団」への参加を通じ、自分がやりたい方向性の一つ目である「地域の経営者の支援」を経験することができましたが、最前線で活動をしてみて、やりたい方向性の二つ目「ミャンマーの若者を支援」の道筋も見えてきたように感じています。というのも、ミャンマー人を地域の企業に雇ってもらうよう、働きかけてみるのはどうか?などのアイデアが湧き、点と点だったやりたいことが、線になってきたように感じています。一歩踏み出して行動を起こしてみたことで、新しい道が開けたように思います。
– これからだんだん複業団に応募しようとしている人へ
私のように転職経験や複業経験が無く、長年会社員として勤めてきてセカンドキャリアをどうしようかと検討されている方も多いと思います。
「だんだん複業団」は、事務局の方や他の団員のみなさんに気軽に頼ることができるので、複業初心者の方でも挑戦しやすいプログラムなのではないかと思います。
団員の中には会社員だけでなく、フリーランスや士業の方も多くいらっしゃって、同じ「コミュニティの一員」として会社員にない視点で様々な情報やコツを教えてくれます。一方、いざ自分が提案する際には、「会社員」として培ったスキルや経験が役立つことも必ずあります。
複業に興味がある、地域の企業と関わってみたい、これまで出会ったことのない人と出会ってみたいなど、動機は何でもいいと思いますので、まずは参加してみて、気になる企業が1社でもいたら、自分のできることを提案シートに書いてみること。その上でご縁があってマッチングすることができたら、誠心誠意やってみることが大事だと思います。
以上、粕谷さんのインタビューでした。ご協力ありがとうございました。