6月29日に「人材不足を解消する新たな人材の活用法」を松山市内にて開催しました。メインのトークセッションには、株式会社チイキズカン・代表取締役社長の坂本大典さんと令和2年から令和4年度のだんだん複業団の参加企業であるユナイテッドシルク株式会社・執行役員の清谷啓仁さんの2名をゲストに迎え、地方企業における人事の課題や複業人材の活用などについてお話をいただきました。この記事はトークセッションの内容をまとめたレポートになります。
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地方企業における人事の課題について
はじめに、地方企業における人事の根本的な課題として、坂本さんは「多くの企業が経営人材の多様性が不足していて、その要因としてこういうことを実現するために、こういう社会にするために、といった自社のビジョンを語り、経営にコミットする人材を呼び込むことができていない」という点を挙げていただきました。
その課題に対して清谷さんは「社内に対して人材の多様性を入れていくことや、愛媛から世界へ出ていくといったより高いビジョンを理解・浸透させていくところに難しさを感じているが、会社の将来的な成長を考えると乗り越えていかなければならない壁である」とおっしゃっていました。
ビジョンの実現のために優秀な人材を呼び込む
次に、自分たちのビジョンを実現するために、坂本さんは「優秀な人材を呼び込む姿勢をまず企業のトップが見せることが大事で、現状に満足せず、新たなチャレンジとして外に向いていくことが必要である」という点を挙げていただきました。
その点に関して清谷さんは、「県内だけでなく日本全体、そして世界にまで目を向けていかないと、人口減少を迎えている日本において会社の成長は難しい。だからこそ、よりプロフェッショナルなスキルや経験を持つ人材を求め、一歩踏み出していく必要がある」とおっしゃっていました。
また、ビジョンの実現より目先の利益や直近の課題に対応するために、身近にいる人材を確保する視点になってしまう点にも触れていただいた上で、坂本さんは「企業のトップからマインドを変え、社内全体の雰囲気を変えていく動きをしていくことと、もし本当に欲しいと思った人材にアプローチしたが、結果、採用につながらなかったとしても、自社のファンになって応援してくれたり、その人経由で別の人材を紹介してもらえたりする可能性もある」という点にも言及していただきました。
新たな人材を活用していくことを地域の文化に
続いて、今回のセミナーテーマである『新たな人材の活用』の一つの方法である「複業人材」について坂本さんは、「社会全体として複業を前提にした働き方にしていくことが必要で、その上で複業人材はより経営にコミットする仕事をもっと経験すること」を挙げていただきました。
その一方で、「複業人材の求職数に対して、受け入れが整っている企業がまだまだ少ない現状において、仕組みや制度の問題、人材に依頼する業務の切り分けができていない問題、人材を投資ではなく費用と捉える認識の問題」など、企業側のアクションについても触れ、「地域のリーダー的存在となる企業がまずは複業人材を積極的に活用していくことで、その地域の文化になっていくのではないか」と地域全体で複業人材を活用していく雰囲気が必要であるとおっしゃっていました。
明確なKPIを設定できる業務からはじめてみる
最後に、だんだん複業団に参加するにあたっては、坂本さんは「マーケターや人事など、一般的にもわかりやすい職種に絞ることと、切り分ける業務としては売上拡大やコスト削減など、明確にKPIを設定できる業務からスタートするといいのではないか」とセミナー参加企業に向けてアドバイスをいただきました。
その上で、令和2年度からだんだん複業団に参加し、これまでに50名以上の複業人材とプログラムを通じてお話をし、10名近くの人材とマッチングした清谷さんは、「人材の方とマッチング面談をする際、事務局が間に入って取りまとめをしてくださり、人材の方のスキル・経験を把握した上で両者をつないでくださるので、安心して人材の方とコミュニケーションができる点はだんだん複業団の魅力の一つ」と事業の特徴について触れていただき、トークセッションは終了しました。
以上、「人材不足を解消する新たな人材の活用法」セミナーのレポートでした。より多くの松山市内企業が、複業人材などの多様なスキルと経験を持った人材を活用し、課題の解決や事業の成長につなげていってほしいと思います。