【トークセッションレポート後編】「地域複業の魅力と地域共創の価値」(だんだん複業団ミートアップイベント)

地域での複業やプロジェクト活動に興味関心のある会社員・フリーランスの方向けに、ミートアップイベント「愛媛県松山市で地域複業&地域共創をはじめてみませんか?」を7月30日に開催しました。

メインとなるトークセッションには、昨年度だんだん複業団に参加していただいた団員4名(髙石美由紀さん、向中野恵さん、清水覚さん、福島香織さん)をゲストに迎え、だんだん複業団への参加を通じて感じた地域複業の魅力や地域共創の価値などについてお話をいただきました。

本記事はトークセッション②「地域共創の価値」の内容をまとめたレポートになります。

▼トークセッション①地域複業の魅力(前編)はこちら
https://dandanfukugyodan-matsuyama.jp/20240730-report1/

まずは自己紹介から

萬里小路(コーディネーター)
続いて、トークセッション②は清水さんと福島さんに「地域共創の価値」をテーマにお話を聞いていきます。まずはそれぞれから自己紹介をお願いします。

清水さん

私は東京出身で、コロナ禍で地域での複業に興味を持ち、いろんな地域で関わりを増やしてきました。ただ、これまで四国には縁がなく、だんだん複業団を見つけて初めて愛媛、松山と関わるということで参加させていただきました。本日は私が参加した共創プロジェクトプログラムを中心にお話させていただければと思います。

福島さん

私は神奈川県鎌倉市の出身で、父のルーツが愛媛県西予市にあって、私も愛媛とご縁をつくれたらと西予市で会社を立ち上げ、宇和島の真珠を使ったアクセサリーを作っています。元々は大手コンビニエンスストアの商品開発を10年程度やっていて、延べ数千のアイテムの開発に携わりました。その経験を愛媛で生かすことができたらとだんだん複業団に参加をしました。私も清水さんと同じく参加した共創プロジェクトプログラムでの経験をお話させていただければと思います。

トークテーマ①だんだん複業団「共創プロジェクトプログラム」に参加してみて

萬里小路(コーディネーター)
昨年度からだんだん複業団で新たにスタートしたプログラムである「共創プロジェクトプログラム」について昨年度参加してみて印象に残っていることを教えてください。

福島さん
プログラム参加していただいた県内の農家支援を行う企業から愛媛産パプリカのブランディング・商品化というお題を出していただき、金銭的報酬がある複業ではなく、プロボノ活動として6名の団員でプロジェクトを結成しました。2週に一度のオンラインでのワークやディスカッションを1回2時間程度で、毎回アウトプットを出すという進め方で行ってきました。印象に残っていることは、企業が抱える課題に対して単に団員チームで提案して終わりというものではなく、企業と一緒に考える、決める、つくるといったプロセスで進行し、最終的に松山市内で成果発表イベントとして約3ヶ月間のプロセスと成果物を発表できたことは良かったと思っています。

萬里小路(コーディネーター)
福島さんはどのあたりを意識して共創プロジェクトプログラムに参加をしてくださったのですか?

福島さん
一番はだんだん複業団として初めて実施するプログラムだったことですね。過去の実績もない中で、自分が参加して、他の団員の皆さんと一緒にどんな成果を残せるんだろうと想像したら面白そうだなと思って参加しました。

清水さん
私が印象に残っていることは、なんでこんなに多様なスキル・経験を持った人が集まったんだろうというところでした。大手コンビニエンスストアで商品開発のど真ん中をやっていた福島さんもそうですし、PR業界で第一線でやっている方、自動車メーカーでプロダクトデザインをやっていた方など、本当にすごい経験をしているプロフェッショナルたちが、金銭的報酬がないプロボノ活動で動く、お金では測ることのできない価値を考えるきっかけになりました。また、プロ同士が話している内容や会議の進め方など、一緒にいるだけで勉強になりました。

萬里小路(コーディネーター)
お二人ともありがとうございます。私からプログラムについて補足をしますと、だんだん複業団は令和2年度からスタートした事業になりまして、令和4年度までの3年間は企業と団員を1対1でつなぐ複業マッチングプログラムを実施してきたのですが、令和4年度に新たに団員同士をつなぐコミュニティ化を進め、その中で対企業の課題解決支援も団員がチームでサポートしたらどうかという声を複数の参加団員の方々からいただきました。複業マッチング×コミュニティを何か形にできないかと生まれたのが共創プロジェクトプログラムになります。福島さんから約3ヶ月のプログラム期間中はプロボノ活動という話がありましたが、このあたりは企業の参加ハードルを下げることや関わりのしやすさを優先にした結果、昨年度はプロボノにしました。

萬里小路(コーディネーター)
続いて、3ヶ月間のワーク後の成果発表イベントについて印象に残っていることを教えてください。

清水さん
松山市内企業への周知も含めて、3ヶ月間のプロジェクト成果を発表する機会をいただきました。実はワークはすべてオンラインでの実施だったので、成果発表イベントで初めて、参加企業とお題となったパプリカの生産者に会いました。両者からこの短期間でここまで成果、特に私が関わったロゴ制作やグッズデザインなどは喜んでいただきました。

福島さん
私は当日プレゼンテーションをさせていただいたのですが、最終的な成果物だけでなく、3ヶ月間私たちはこんなことをやってきたんですというプロセスもきちんと話すことができたのが良かったと思っています。その背景や想いも伝えることができたからこそ、この後詳しく話させていただくと思うのですが、プログラム終了後もプロジェクトが継続したのかなと思っています。

萬里小路(コーディネーター)
初年度のプログラムではありましたが、プログラムの企画にあたっては団員チームの主体性を大事にすることを最優先にしました。そのため、事務局が団員に伝えたルールは2つ。一つは1回のワークは2時間まで、もう一つは毎回何かしらアウトプットを出すこと。時間的な制限を加えることで集中した場にすること、アウトプットとして可視化することでワークの進展や次の課題を明確にすることを狙いにしました。

トークテーマ②プログラム後の取り組みについて

萬里小路(コーディネーター)
続いて、先ほど福島さんが少し触れてくれましたが、この「ちいあまプロジェクト」はだんだん複業団としてのプログラムが終了した後も、団員チームでプロジェクトが継続することになりました。そのあたりの背景や理由についてお話を聞かせてください。

福島さん
プログラム最後の成果発表イベントで一体感ができたことが一番だったと思いますが、もう一つ、パプリカが生育する季節は夏だったので、自分たちがネーミングや企画したものがちゃんと生育するところは見届けようと思いました。プログラムが開始する前にサンプルはいただいていたのですが、まだ自分たちが関わっていない時のパプリカと、自分たちが関わった後のパプリカでは思い入れも違いました。また、企業も生産者も、みんなで一緒につくったネーミングやロゴができた以上、ちゃんと世の中に届けたいよねと本気になってくれたことも大きかったです。

清水さん
私もプロジェクト継続となってとても嬉しかったです。私たちから押し付けて、企業が嫌々やるみたいなことではうまくいかないですし、そこがみんな同じ気持ち、販売開始までは絶対関わろうという認識だったことで、継続となったのではないかと思います。また、この活動は強制感やノルマ感が一切ない、大人の部活動なんです。放課後にちょっと教室でだべってなんか楽しんでいるような気軽さでもあるんです。関わるメンバーそれぞれが自分なりに関わる意味づけを行って、好きなことや得意なことをこのプロジェクトでやっていくという仕組みができたことは大きな成果です。

萬里小路(コーディネーター)
なるほど。金銭的報酬がある、複業ではない活動だからこそ見えたものなんでしょうね。

福島さん
お金がゴールではないというのは結果的にチームで面白くできた要因ですよね。お金があるとどうしてもライバルとの競争、誰のスキルやアイデアが最適なのかという風なってしまう気がするんです。それがメンバー全員のいいところを活かし合う関係性になった。一方、活動する以上はお金にできたらいいよねというのはあるのですが、入り口からお金がなかったからこそ、面白いプロジェクトになったような気がします。

清水さん
私は地域での複業はこれまでいろんな地域でやっているのですが、基本的に一人で企業の方と1対1で進めていくやり方です。そこには責任感や義務感は生まれて、任せてもらえる範囲もあるとより充実度も増すのですが、同時に寂しさも感じるんです。自分よがりの考えになっていないか、これで合っているのかなどが一人でやっていると感じる時があります。一方、共創プロジェクトのようにチームでやってみると、チームメンバーと相談しながら進められたんです。そこにお金が発生していないから関係がフラットで、気軽にこれどう思う?これこういうことじゃない?と聞けたり、話せたりするんです。そういう損得勘定の関係ではない活動って貴重な経験だと思います。

トークテーマ③地域での共創活動にチャレンジしようと思っている方へ

萬里小路(コーディネーター)
最後に新たに地域での共創活動にチャレンジしようと思っている方へ向けて、だんだん複業団に参加した1年前の自分と今の自分を比べての成長したところなどを踏まえてお話いただけたら嬉しいです。

福島さん
私は参加する前はそこまで見返り的なものは期待していなかったんです。初めて実施するプログラムで盛り上げができたらくらいのテンションで参加したんです。いざプロジェクトを結成してみると熱量がすごくて、チームメンバーの本気の仕事を見てたら私もって気持ちになっていました。今ちょうど進めているパプリカ「ちいあま」の販売会の企画やPRもとても面白くて、これからどんな展開になるのか楽しみな気持ちでいっぱいです。メッセージとしては、自分がやってることは一人ではなかなか自信が持てないところもあると思うのですが、チームでやってみるとそのハードルは下がって、誰かの役に立つことはできるのかなと思います。

清水さん
シンプルに共創活動への参加を激しくおすすめします。特に私もそうですが、会社員でその会社の仕事だけをやっていると、その会社の常識や価値観の中でしか物事が見れなくなってしまったり、思考が凝り固ってしまうのかなと、プロジェクト参加を通じて感じました。また、自分とは全然違う領域でやっている方々とご一緒することで、この人こんな短時間でこんな感じでアウトプット出せるんだなとか、この人のコメントは自分じゃ絶対思いつかない視点だなとか、自分に足りないことも含めて自分の現在地が見えてきます。自分のスキル・経験を活かすだけでなく、自分を磨く、自分に足りないものを見つける、そういった経験ができるのも共創プロジェクトならではなのかなと思います。

萬里小路(コーディネーター)
お二人の話を聞いてふとアフリカの諺が浮かびました。「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」。だんだん複業団の共創プロジェクトは後者に当てはまるのではないかと思いました。それも前編の最後も触れたコミュニティとしての団員間のつながりがあることがみんなで行くための土台になっているとも言えます。また、金銭的報酬ではない価値を見出すことができるのも複業とは違う共創活動ならではの価値なのだと思いました。

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