【トークセッションレポート】「だんだん複業団員に聞く、地域での複業の魅力とは」(ミートアップイベント)

7月25日に、地域での複業に興味関心のある会社員・フリーランスの方向けにミートアップイベント「愛媛県松山市で地域複業をはじめてみませんか?」を開催しました。そのメインのトークセッションには、昨年度だんだん複業団に参加した団員3名(島田 啓佑さん、臼井 成美さん、野島 優美さん)をゲストに迎え、地域ならではの複業の特徴や魅力などについてお話をいただきました。トークセッションの内容をレポートにまとめたので、是非ご覧ください。

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https://dandanfukugyodan-matsuyama.jp/event-meetup-20230725/

まずは自己紹介からスタート

萬里小路(事務局)
本日はよろしくお願いいたします。本日は3名のだんだん複業団員の方々に「地域での複業の魅力」と題して、3つのテーマについてお聞きしたいと思います。
まずはそれぞれから自己紹介をお願いします。

島田さん
島田啓佑と申します。普段は会社員で、現在は都内のスタートアップでEC事業の統括をしております。だんだん複業団には事業がスタートした令和2年度から参加しています。それ以前から地域での複業には関わりがあったのですが、愛媛に関わるのは初めてでした。初年度に参加してみて、松山はとても魅力ある企業が多くいると感じたので、団員として継続して参加させていただいています。本日は、自身の地域での複業活動もそうですし、所属する企業でも複業人材を活用して事業を行なっているので、それぞれの視点からお話ができればいいなと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

臼井さん
臼井成美と申します。普段はフリーランスで活動をしていて、キャリアコンサルタントとしてのキャリア支援やサステナビリティ経営、DX、業務改善などの仕事をしています。だんだん複業団には令和3年度から参加しています。その年は、松山へフィールドワークに行って、市内企業だけでなく、いろんな団員の皆さんと出会う機会になりました。それがきっかけで、昨年は団員同士のつながりを目的としたコミュニティを中心に活動をしてきました。複業に関わる人たちのキャリアを応援していくことに興味があって、コミュニティではそういった取組にも今後挑戦していきたいと思っています。本日はコミュニティの活用の仕方やその魅力についてお話ができたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

野島さん
野島優美と申します。普段はフリーランスで、人や組織、地域に関わるサービスや事業などの営業支援、キャリアコンサルタントの仕事、研修講師などをしています。だんだん複業団には令和4年度から参加しています。元々は、PR会社に勤めていて、その会社では地方自治体の仕事をやっていたこともあり、地域との関わりはその頃から持っていました。そんな中で昨年、コロナも少し落ち着いて、改めて地域との関わりを模索していて、地域の企業と接点を持ちたいなと、だんだん複業団を見つけて参加させていただきました。本日は、私自身がだんだん複業団に参加したことによって、自分が何を大切にしたいのか、こういう働き方もいいかもしれないという気づきがたくさんあったので、その辺りを中心にお話ができたらいいなと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

トークテーマ①
だんだん複業団のプログラムに参加してみて、松山の企業と接してみてどうだった?

島田さん
だんだん複業団は今年度で4年目になると思うのですが、地域の企業と複業人材をマッチングする事業を4年間も積み重ねてきた自治体ってそんなに多くないと思います。松山市は早くからこの事業に取り組まれて、しかも継続していることはすごいことで、さらに毎年プログラムがアップデートしていて、いつも新鮮な気持ちで参加することができます。
メインである複業マッチングプログラムは、ここから数ヶ月間かけて、チェックイン講座からフィールドワークを経て、市内企業に提案をしていく流れになるのですが、現地で実際に企業に会えるフィールドワークは、松山の魅力も感じながら、いろんな企業のことを知れるので、すごく面白いプログラムです。自然体な雰囲気で、運営上もストレスなく企業と接点を持つことができるところはだんだん複業団の魅力だと感じています。

萬里小路(事務局)
島田さんから毎年、プログラムがアップデートされているという話があったのですが、実は運営の考えだけではなく、団員の方々からの声や要望を拾いながら毎年アップデートしています。例えば、臼井さんが令和3年度に現地フィールドワークに参加していただいたんですけど、その時に他の参加団員さんに対して、積極的に声をかけてくださっていました。で、気がついたらFacebookメッセンジャーでグループができていたんです。そんな仲間意識の高さを感じた時に、だんだん複業団にはコミュニティとしての可能性があるんじゃないかなと思いまして、翌年の令和4年度からコミュニティプログラムをスタートしたんです。

そんなだんだん複業団のコミュニティを昨年、盛り上げてくれた臼井さんはプログラムに参加してみてどうだったでしょうか。

臼井さん
今、お話にあった毎年変化していくプログラムやフィールドワークは私も魅力的だなと感じているので、ぜひフィールドワークは現地に行って、いろいろ体感してほしいなと思います。私自身、松山以外の地域にも関わったことがあるのですが、その時に接した経営者は「ううん、大丈夫、大丈夫」みたいな感じで、遠慮というか構えている印象があって、こんな課題があって困っているんだって率直に話していただけないことがあったんです。ただ、松山の企業は「実は今こんなことに困ってて・・」「こんなことを手伝ってほしいんだ」「ここを何とかしたいんだ」というのを隠さずに話してくれるという印象が強く残っています。こちらから質問をした時も、「なるほど、そんな考え方もあるんですね」と団員のアイデアを聞いてくださって、一緒にやっていこうという関係性を築きやすい企業が多いなと思いました。

また、コミュニティに関しては、初めて地域の企業で複業するのって、プレッシャーを感じる人もいるんじゃないかなと思っています。というのも、私が複業始めたての頃に関わった企業が、複数名でチームをつくってやったのですが、その時のチームメンバーとは今でも繋がっていて、ちょっとした相談もできる仲間になっているんです。
その経験から、一人じゃなくて誰かと繋がりながら複業した方が安心してできるんじゃないかなと。一人じゃできないかも、自分なんかが複業できるのか、ちょっと不安だと感じた時に「ちょっと相談してもいい?」って言える仲間のいるコミュニティがあることはこれから複業にチャレンジする人たちには安心感につながると思っています。そんな中で、昨年からだんだん複業団でコミュニティをつくってくれたので、私は喜んで参加させていただいて今ここにいます。

萬里小路(事務局)
臼井さんは昨年度、島田さんとコラボして団員向けの交流イベントを企画してくださりましたね。フィールドワークで一緒になった島田さんの経営者に対しての質問力が素晴らしいというところから、その考え方や知見を他の団員にもシェアしてくれました。その一歩があったおかげで、その後も他の団員の方からの持ち込み企画が出てきて、コミュニティが少しずつ活性化し始めたなと感じました。

続いて、昨年度参加して、松山の市内企業10社と接してみた野島さんのお話をぜひ聞かせてください。

野島さん
私は昨年、現地へフィールドワークに行ったのですが、2日間かけて市内企業の思いや課題を聞くことができて、とても貴重な機会になりました。フィールドワークに行く前に、オンラインのチェックイン講座で企業と接点を持ったうえで現地に行ったので、オンラインで感じた以上のパワーや熱さが伝わってきたのを覚えています。企業の経営者が本気で話してくれる感じが伝わってきて、「この経営者は自分とフィーリングが合いそうだな」とか「こんな風に支援ができたらいいな」と理解が深まって、さらに距離感も縮まる時間でした。私は普段から思ってることは溜めずにお伝えするタイプなので、その場で色々質問して、本音を聞くことができたのもすごく良かったです。
また、フィールドワークの時間外では、一緒に参加した団員の方と夜ご飯を食べに行ったのですが、そこではこれまでの複業経験についてシェアしたり、今日話した企業にどんな提案できるかなどを話したりする時間もあって有意義な2日間を過ごすことができました。

島田さん
野島さんのおっしゃったことすごくわかります。都市部から20名近くの人材が松山にやってきて、企業が自分たちのことを話すのって普通構えちゃいますし、特に複業人材を活用したことのない企業だったら、「うちで活用できるのかな」と不安に思うのですが、だんだん複業団に参加する松山の企業は、活用することへの不安を感じさせない、非常にアグレッシブな姿勢の企業が多いなと感じました。土地柄や風土もあると思いますし、大手企業のサテライト拠点もあったりするビジネス環境が要因にあるのかなと思います。

萬里小路(事務局)
参加する市内企業の多くは、イノベーター気質で新しいことが好きなんだと感じます。地元だけで人材を採用しようという視点ではなくて、外の知見を活かしていく発想をもった企業が参加してくださっているんだと思います。

ここまで3名の皆さんからプログラムに参加してみて、市内企業と接してみての感想をお話していただきました。

トークセッションの様子

トークテーマ②
地域で複業するにあたって、どのくらいのスキルや経験って必要?

野島さん
私自身、フリーランスで6年働いているのですが、一つ悩みがありまして。どんな悩みかと言うと、元々PR会社で働いていたので、クライアントに「専門はPRです」と言うのが一番わかりやすいんですが、フリーランスになった経緯が人材育成や他の分野にも関わりたいからだったんですね。キャリアコンサルタントの資格を取ったのもフリーランスになってからで、これまでいろんな分野でやりたいことをやってきたのですが、ふと「自分ってどう紹介したらいいんだろう」って思ったんです。そんな中で地域との関わりを持ちたいと、だんだん複業団に参加したんです。

実際にプログラムの中で企業の思いや課題を聞いて、私だったら何ができるかということを改めて考えてみると、自分がPRと名乗るのか、営業と名乗るのかといったこと以上に、シンプルに企業が抱えている課題に貢献できれば、自分のどのスキルや経験を使ってもいいんじゃないかと思えたんです。 一緒に参加している団員の方たちも「自分はゼネラリストタイプで、何かのスペシャリストというわけではないから、どうやって貢献したらいいんだろ・・・」と悩んでる方もいたんです。でも、だんだん複業団に参加して気づいた今の私からすると、そんな心配はいらなくて、どんなスキルや経験であろうが自分の活かせるところはあって、企業と接してみて「やってみたい」と感じたことに向き合ってみれば良いんだと思います。

萬里小路(事務局)
何か明確な成果物を提供するだけではなく、もっと手前のフェーズで、頭の中を整理してほしいとか、話を聞いて客観的にアドバイスがほしいといった経営者も多くいますよね。野島さんの場合はPRが一つ武器にあると思うのですが、昨年度マッチングした企業からは、プレスリリースを書くというPR業務をしてほしいだけでなく、社内に対してPR思考みたいな考え方をインプットしてほしい、野島さんがPRの仕事をしてきた知見を伝えてほしいといった期待もありました。

続いて、臼井さんはこのスキルや経験についてどう思っているでしょうか?

臼井さん
私もはじめは何か尖がったものがないといけないのかなと思っていました。松山ではないのですが他の地域で初めて複業をやった時のきっかけは、「臼井さんパソコン打つのめちゃ速いよね」という理由で選ばれたんです。その方のお話を聞いている時、パソコンでメモを取っていた動きが早かったのを理由に、記事の文字起こしが最初の複業案件でした。単純に文字起こしする、議事録を作成するといったことでも、十分に必要とされるんだなと思いました。

また、これまでやったこともなく、プロフィールにも書いていない仕事なのですが、新規事業の立ち上げ案件の依頼をもらうことがあって、その理由が「スケジュール表をつくるのがうまいから」ということでした。そんな経験から思うこととしては、いつもやってることが意外な場面で活かせる時があって、そこに自分が得意だと認識していることを組み合わせられると、より企業に貢献できて長い付き合いになるんじゃないかなと思っています。

萬里小路(事務局)
日々の仕事の中で当たり前にやっていることが武器になって、相手に必要とされることがあるんですね。どんな経験が活きるか、どんな関わりしろが生まれるかは未知数だと思いますので、ぜひ素のままの自分を企業に見てもらえると良いんだろうなと感じるお話でした。

続いて、島田さんには別の角度で、これまでだんだん複業団に3年間参加して30社近くの企業とお話してきたと思うのですが、市内企業に共通する特徴はありますか?

島田さん
都市部の大きい会社だといろんな部署があり、組織立っていて役割も明確にあると思うんですが、地域の企業と接してみると、人数の少ない企業などは、この業務は誰がやるのか明確でないことがあったりします。こうした体制において、特定の人に業務が偏ってしまい、ボールを預けてしまって申し訳ないと感じている経営者は多いのではないかと思います。そのため、そこの間に入って役割を調整したり、タスクを整理したり、場合によってはその役割を担って形にしたりするところは、複業人材ができることなんじゃないかなと思っています。

また、事業計画や営業戦略の策定、資金に関する部分は経営者一人で悩まれているケースが多いので、壁打ち相手になって、切り口を一緒に探してみたり、自身の経験や都市部の事例や情報を提供したりして、視野を広げてあげることができるんじゃないかなと思っています。

萬里小路(事務局)
経営者の話を聞いて、新しい視点を提供する、視野を広げていく、大事なアプローチですね。

あと、もう一つ聞いてみたいのが、島田さんは会社員所属で、複業をしている立場になると思うのですが、時間の使い方はどのように工夫していらっしゃいますか?

島田さん
現在所属する会社は、リモートワーク中心の働き方でもあるので、仕事する前後の時間を使って複業案件をしています。時間は大体、平日は1日2時間を週3日程度、土日祝は4時間程度で、合計すると週10時間、月40時間くらいを複業に割いています。

地域の企業も本業があることを理解してくれていますし、チャットでのコミュニケーションが中心になるので、私自身は「この案件はこのくらい時間がかかるので、今週末目途に返事しますね」とか「これはすぐにご返事できるので、明日までにご連絡します」と、明確に期限を伝えて、相手が心配にならないように返事を心がけています。また、年に2~3回は旅行を兼ねて現地を訪れていて、タイミングが合えば直接会ってお話をしたり、お酒を飲みに行ったりもしています。

萬里小路(事務局)
時間の管理や企業とのコミュニケーションは全てセルフマネジメントになると思いますが、ここをしっかりできるかどうかで相手との良好な関係も築くことができますし、その信頼関係があってこそ、お互いに良い仕事ができるんだと思いました。 それでは最後に、地域複業の魅力について3名に聞いてみたいと思います。

トークセッションの様子

トークテーマ➂
参加者へのメッセージも含めて、普段の仕事や一般的な副業にはない地域複業ならではの魅力について教えてください。

臼井さん
地域で複業する方の多くは、本業では経験できないことを経験したいのではないかと思います。私なりに感じる地域での複業の魅力は2つあって、地域の人と接することで第2のふるさとができることと、自分の違う面が見つかったり出せたりすることだと思っています。本業ではなかなか出せない違う自分が出せる可能性があるのが地域での複業だと思います。そして、その可能性は仲間、だんだん複業団でいうと団員に見つけてもらえることもあるので、ぜひ団員同士のつながりも大事にしてくれたら嬉しいなと思います。

島田さん
地域での複業の魅力はたくさんあるので一つに絞るのが難しいのですが、まずは肩肘はらずにやってみることを大事にしてほしいと思います。自分がこれまで出会ったことのないような企業の経営者の思いや困っていることをまずは聞いてみる、そのお話で感じたことを自分の経験や考え方も入れて提案してみることで、その企業との接点は生まれるんじゃないかと思います。普段の本業とは違う領域でぜひ楽しみながら参加してほしいと思います。

野島さん
実際に地域の企業と接してみると、いろんな価値観に触れることができて、一方で自分のような都市部の価値観も活かすことができるんだなと感じることができます。企業の経営者が何を大切にしているのか、どんなことを求めているのか、そういったことに触れるだけで多くの刺激がありますし、自分では当たり前だと思っていることや大したこともないと思っていることが相手からはありがたいと思ってもらえる嬉しさもあります。その両方を感じられることが地域での複業の魅力や楽しさなんじゃないかなと思います。

萬里小路(事務局)
最後に私からも一つお伝えさせていただくと、地域での複業は「プライベートの自分」と「バリバリ仕事をやっている自分」を行き来する感覚が味わえるんじゃないかと思います。自分の普段暮らす地域以外の場所に行って、地域の人と話したりして非日常を感じながら、日常的にやってきた経験や培ってきたスキルを活かす感覚です。その行き来の中で、第3の自分みたいなものやサードプレイスとなる地域が見つかったりするんじゃないかなと思います。だんだん複業団では愛媛・松山をフィールドに、新しい自分に出会う感覚を味わってみてください。

イベント終了後の集合写真の様子

以上、ミートアップイベント「愛媛県松山市で地域複業をはじめてみませんか?」のトークセッションのレポートでした。より多くの複業人材の方に、地域の企業との出会いを通じて、企業課題の解決に貢献していくことやその地域との関係人口になっていくことを期待しています。

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