令和5年度のだんだん複業団をゆる〜く中間報告します!【事務局コラム】

こんにちは。だんだん複業団事務局の萬里小路(までのこうじ)です。本年度のだんだん複業団(都市部人材デュアルワーク支援事業)は、「松山市内企業の経営支援・課題解決」と「松山市の関係人口創出」の2つを目的に、4つのプログラムを現在進行形で実施しています。

2023年も12月に入り、今年もあっという間だと感じながら、年度末までも残り4ヶ月を切り、本年度のだんだん複業団のここまでを一度振り返っておこうと思い、中間報告的なイメージで事務局コラムをお届けしたいと思います。

①松山市内企業と複業人材(団員)が “だんだん”とつながる複業マッチング

だんだん複業団の象徴的な取組である「複業マッチングプログラム」は、様々な課題を抱える松山市内企業と自らのスキル・経験を生かしたい複業人材(団員)による複業マッチングを通じて、企業の経営支援や課題解決を目指す取組です。これまで、チェックイン(8月)→フィールドワーク(9月)→チェックアウト(10月)→マッチング面談(11月〜12月)と進んできました。

チェックインは、企業と団員が初めてオンライン上でコミュニケーションする時間として、本年度参加の企業9社が団員に向けて企業概要や課題共有をインプットしていただき、それに対して団員が企業に向けて気になったこと等の質問を行いました。お互いに「はじめまして」という緊張感もありながら、「これからどんなことが生まれるんだろう」というワクワク感も感じる瞬間でした。

続いてのフィールドワークは、9月下旬に現地で2回、10月上旬にオンラインで4日間にて実施しました。その中で、現地は計15名の団員に参加していただき、9社の企業を2日間かけて訪問して、視察やディスカッション等を行いました。直接会って話すことで見えてくるものや松山を五感で感じることで見えてくるものなど、普段の生活や仕事にはない発見と刺激が一人ひとりあったのではないかと思います。なぜ、ここまでの労力と時間をかけてマッチングを目指すのか。その考えも後ほど触れていきます。

現地フィールドワークに来ていただいた団員の皆さんと


刺激の多かったフィールドワーク後に実施したチェックアウトは、提案シートの作成に向けて事務局から団員に書き方のポイントやコツをお伝えしました。参加した団員からは「具体的にこの企業に提案しようと思っていて、内容について相談したい」「この企業にこんな内容で提案しようと思っていて、ちゃんと響くと思うか相談に乗って欲しい」など、チェックインからフィールドワークを経て “だんだん”と団員の熱い想いが出ている瞬間でした。先に言ってしまいますが、私が1対1でお話をした団員の方の提案内容が見事に企業に刺さって、マッチングに至った時は自分ごとのように嬉しく思いました。

提案シートは団員からのラブレターとも言えるくらい想いの詰まったものであるのですが、そんなラブレターを受け取った企業が「ぜひ話してみたい!」と選定した団員とマッチング面談を実施していきました。ちなみに、だんだん複業団の提案シートは、単に企業の課題に対して自分が提供できるスキルや経験を書いて出せば良いというフォーマットにしていなく、企業のビジョンや背景、経営者や担当者の人柄や想いを知らないと書けないフォーマットになっています。

面談者の選定にあたっては、どの団員と面談しようか悩みながら「この方とだったらこんなことが一緒にできるかもしれない」と一緒に仕事するイメージを膨らませながら選んでいたのが印象的でした。また、マッチング面談は一般的な面談の雰囲気というより、お互いの人柄や想いを、企業の抱えている課題と団員のスキル・経験を “だんだん”と知っていく雰囲気で、何か小さなことでも関わることを前提にお話がスタートしているのが印象的でした。

簡単にここまでの定量的なマッチング結果をお伝えすると、参加企業9社に対して団員27名から65件の提案シートを提出いただき、(12月13日時点で)12名・15件のマッチング(※)が生まれています。また、マッチングには至らなかったが、今後の関わりしろを見据えて連絡先交換をした企業・団員も10件以上となっています。そのような関係性を見ていると、単に仕事を発注する企業と受注する人材というドライな関係ではなく、お互いに人としてのあったかみのある関係が築かれている気がしました。

※マッチングの定義:何の業務(または成果物の創出)を、いつから、どのような関わり方で、どのような報酬(無償も含む)で実施するかを面談内で明確にし、双方合意できた状態をマッチングとしています。

共感マッチングすると自然と企業も団員も事務局も良い笑顔が生まれます

②松山市内企業と複業人材(団員)が “いつでも”つながる複業マッチング

本年度から新たに実施している「Anytimeマッチングプログラム」は、過去(令和2年度〜4年度)に事業に参加した市内企業が “いつでも”団員に課題を提示することができ、その案件に対して応募したい団員は手を挙げていただき、複業マッチングを目指す取組です。昨年度参加した企業の方から、いろんなスキルや経験を持った団員にいつでも相談できるようにしてくれたら嬉しいという声をいただき、実証実験的に実施することになりました。

現在、1社の市内企業に手を挙げていただき、課題や想いをヒアリングした上で団員に案件を共有しました。現在、応募をいただいた団員と面談を実施している最中です。こちらのプログラムからもどのようなマッチングが生まれるかとても楽しみにしています。

ちなみに、なぜ過去に参加した企業のみが参加できるようにしているかというと、だんだん複業団が大事にしている「共感マッチング」(スキルや経験だけでなく、人柄や想いを知った上でのマッチング)の考え方を理解し、①の複業マッチングプログラムのプロセスを経験しているからです。その理解と経験がないままいきなり面談をした場合、スキルや経験でのマッチングで終わってしまいます。

共感マッチングした団員と案件やプロジェクトを推し進めるまどんなクリエイト・武市代表

③松山市内企業と複業人材(団員)が “チームを結成”して成果を創出する共創プロジェクト

もう一つ、本年度から新たに実施している「共創プロジェクトプログラム」は、市内企業がプロジェクトオーナーとして立っていただき、プロジェクトの背景や想いに共感した団員たちでチームを結成し、3ヶ月間でプロジェクトゴールとなる成果物の創出を目指す取組です。本年度は2社の市内企業に手を挙げていただき、「農産物のブランディング・商品化」と「ラーニングプログラムの設計」というどちらも新しい商品・サービスを生み出していく0→1フェーズのプロジェクトが立ち上がりました。

プログラムは全6回で構成していて、Day1はチェックイン(お互いの自己紹介やチームビルディング等)、Day2〜Day4まではゴールに向けたワーク、Day5は成果発表、Day6はチェックアウト(振り返りや今後の取組について等)を実施します。計10名の団員が2つのチームに分かれ、10月にDay1がスタートし、(12月21日時点で)Day4までを終え、ゴールとなる成果物の創出に向けて各チームのワークは佳境を迎えています。

このプログラムの特徴として、個人やチームの自律性や主体性を最大限に活かすようにしています。事務局が「こうしてください!」「こうしたらどうですか?」ということは基本的になく、あくまで企業・団員によるチームで「何をゴール・成果物とするか」「誰が何をいつまでにどのようにやるか」を意思決定して動いています。その理由はシンプルで、このプログラムが「共創(Co-Creation)」をすることを前提にしているからです。

また、このプログラムは団員視点でみると、①や②のような複業とは違ったスタンスやマインドで企業と接することになり、仕事でもプライベートでもない中間に位置し、その両方の視点を持った「第3の自分」が表現されているのではないかと私は外から見て感じています。

そして、年内最後のワークとなるDay4を終え、次回はいよいよ1/27に3ヶ月間の成果発表を松山現地で行います。こちらはオープンなイベントとして、広く松山市内の企業等に向けて発表しようと考えています。だんだん複業団というコミュニティに参加する団員が地域の企業と “チームを結成”し、どのような課題に取り組んできたのかというプロセス、その取組の中で生み出された成果、さらに一連の取組を通じて得られた気づきや効果等を世の中に対してきちんとアウトプットできたらと思っています。

だんだん複業団”初”のチームによる共創プロジェクト

④複業人材(団員)が “主役”のだんだんコミュニティ

最後に、昨年度から取組がスタートした「コミュニティプログラム」は、団員が “主役”で、お互いのつながりを持つことや団員の声・アイデアをシェアすることを目指す取組です。本年度は主に2ヶ月に1回開催する「交流サロン」を中心に、オンラインコミュニケーションツール「Slack」の活用、団員寄稿による「コラム」の掲載を進めてきました。

その中でも、交流サロンはこれまでにキックオフ回(6月)→ウェルカム回(8月)→松山の魅力回(10月)の3回開催してきました。キックオフ回とウェルカム回は自己紹介をしながらお互いのことを知る時間に。前回の松山の魅力回は①の複業マッチングプログラムで、9月の現地フィールドワークに行った2名の団員に、行ってみて感じた松山の魅力を話してもらった上で、サロン参加団員で松山の魅力をいろいろと語り合う時間となりました。

その際に「歩きたくなるまち」というキーワードが出ました。ここをもう少し深掘ってみると、松山は「ウォーカブルなまちづくり」を推進しているまちであることがわかりました。そこで、12/15に開催した交流サロンでは「松山を歩く」をテーマに、公民学連携でまちづくり活動を行う「松山アーバンデザインセンター」さんの取組紹介とまち歩きからまちづくり活動を行う「(一社)あるっこ」さんのまち歩きの楽しみ方をインプットしながら、松山の魅力を「歩きたくなるまち」という視点から考えていく回を実施しました。

まち歩きを通じて松山の魅力を発掘・発信する


そして、10月と12月の交流サロンを経て、年明け1月27-28日には「松山を実際に歩いてみよう」という内容で1泊2日の現地イベントを開催します。だんだん複業団の醍醐味は「松山現地に実際訪れることで、五感を使った体感・体験を通じた新たな出会いと機会の創出がある」と思っています。感覚的なことなのでなかなか言葉では表すことができない価値とも言えますが、一つファクトベースでみると、①の複業マッチングプログラムで記載したマッチングした12名の内、11名は現地フィールドワークに来た団員でした。つまり、企業との出会いや松山という地域に関わる機会をつくるのに、松山現地での体感・体験はとても重要なことであると言えます。

また、③の共創プロジェクトプログラム同様に、このコミュニティプログラムも団員主体による成果物をアウトプットしたいと考えています。1/27-28の現地イベントは、そのアウトプットの材料を発掘する時間にし、松山のまちを歩いて、参加した団員一人ひとりが発掘した材料をまちの魅力として可視化できればと思っています。団員が “主役”であるプログラムでどのようなアウトプットが創出されるのか、特に自治体やまちづくり組織ではない関係人口といえるだんだん複業団員が松山の魅力をどのように発掘し、どのように世の中に発信するのか、とても楽しみにしているイベントです。

本年度参加している団員の方の参加はもちろんのこと、もし今からだんだん複業団に参加し、1/27-28の松山現地イベントに参加してみたいと思った方は、まずはだんだん複業団のホームページから「だんだん複業団に参加する」からエントリーをしていただき、イベントの参加申し込みをしていただければ幸いです。(なお、現地イベントの参加申込期限は2024年1月11日までになります。)

●だんだん複業団に参加する(新規エントリーの方)は以下よりお願いいたします。
https://forms.office.com/r/qe9fgBaWn8

●1/27-28の現地イベントの参加申し込み(既存団員の方)は以下よりお願いいたします。
https://forms.office.com/r/wgBrUXtL38

朝の散歩をした際に撮影した松山の自然と街並み(9 月のフィールドワーク)

以上、本年度実施している4つのプログラムの取組から事務局視点でのゆる〜い中間報告をお届けしました。残りの事業期間も企業・団員の皆さんと楽しく取組ができたらと嬉しく思います。

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